《幽玄庵》09-易〈周易〉

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Compass of Mind and Soul《 幽玄庵 》

易〈周易〉

・占術名:易〈周易〉-しゅうえき-
・占術の分類 ☆〈卜〉

■周易とは・・・

易の元になっているものは儒教の基本テキスト四書五経のうち五経の筆頭に挙げられる経典の「易経」にあって、始めに「太極」という根本的な宇宙原理を考え、その「太極」が「陰陽」に分かれて、順次「四象」「八卦」「六十四卦」と展開していきます。易では万物を展開させる要素として、その存在を六十四のパターンに分けて考えます。
周易は筮竹(竹の棒)と算木(陰陽を表す角棒)などを用い、問題ごとの真意を将来の得失、機会を占うものです。得た卦を易経(易のテキスト)による解釈に従って、問題に対する答(神意=自然の変化を支配する法則)を導き出します。

スイスの著明な精神科医でもあり、分析心理学者でもあったユング(Carl Gustav Jung1875‐1961)は、易経の「共時性」というシンクロニシティ理論を客観的に分析し、1952年に共時性論文として発表しています。このユングの共時性という概念は、現代では多少形は変化しながらも、心理療法のカウンセリング などに用いられています。

「ユングと共時性」イラ・プロゴフ著に、このようなユングの言葉があります。
「易経の述べる応答は、人の運命の展開の中の幅広い期間を反映する本当に意味深いものとなり得るのである。」

また、現代思想家のマーフィー(Joseph Murphy,1898-1981)は、本来はキリスト教の牧師ですが易占いの本を書き、その中で易の各大成卦に聖書の様々な言葉を結びつけて解釈しています。

■周易の歴史

中国の伏義(約1万年前)が作ったといわれる八卦が原形。周王朝(BC1027-770)の創始者文王が八卦を重ねて六十四卦を定め、現代の易経に「卦辞」「爻辞」として残る大半の解説文を書いたといわれます。なお易経のその他の部分である「十翼」は孔子(BC551-479)が書いたものです。三国時代に王弼(AD226-249)が漢代の象数易を批判して老荘思想をベースに「周易注」を著し、周の時代の易(義理易)を提唱しました。このことにより易には周易と漢易のふたつの系統が存在することになりました。更に南宋時代の朱子(1130-1200)が象数易と義理易を統合、先天易と後天易を統合して天地自然の易を確立し、その思想が現代の易のベースとなっています。(王弼の義理易は道教をベース、朱子の義理易は儒教をベースにしています。)

日本には、百済より553年に五経博士により伝承され、当時は貴族社会の中だけで用いられていましたが、平安期以降は易占いは祈祷も行う「算置」と呼ばれる人々により一般庶民に広まりました。近世の日本の易は平澤随貞(1700頃)が易卦の注釈書「卦象解」や新井白蛾(1715-1792)が「象意考」を著し、「易者」や「八卦見」と呼ばれる人々が現れました。明治期に入り高島嘉右衛門によって易占大系が著されています。(高島嘉右衛門に弟子はいません。直系の親族以外の数名いた側近の方々は高島性ではなくて自名を名乗っています。)(義理易の義理とは哲学、思想のことです。)※(敬称は略しています。)

■周易の特徴

易経は運勢の良し悪しを占うものではなくて、機会とかタイミングの良し悪しを占断する占術です。易経という易のテキストには六十四の卦と三百八十四の爻、そして変爻の卦という多大な答えを用意してくれています。

易占は「共時性」という意味のある偶然の一致を作為的に起こして、問いと答えの絶妙な関係を意味のある偶然の一致と結び付ける占術といえます。例えば「彼とのデート」で「迷いと悩み」が出来ました。肝心なのは「彼とのデートをしたい」ので「迷いと悩み」があるのか、「彼とのデートをしたくない」ので「迷いと悩み」があるのか明確にしなければなりません。
易経では、「彼とのデート」が「出来るか、出来ないのか」の二者択一での答えは出ません。易経は「彼とのデートをしたい」がどうすれば良いか、「彼とのデートをしたくない」がどうすれば良いか考察する哲学です。

易は問題の種類を問わず、どんな問題でも占断できますが「イエス、ノー」の二者択一的に白黒という判断をしません。世の中は常に変化するもので、人は自らを変えることが出来て、自らを変えることで周囲の状況も変わる。その為には、どうしたら良いかを教えてくれて、迷いを断つのが易占の最大の利点であり特徴です。

■周易の占法

筮竹を使用した筮法には、本筮法と略筮法がありますが、現在では一気に八卦を出す略筮法(江戸時代に新井白蛾が考案した易占方法)による易占が多く使用されています。
筮竹という50本の竹棒と算木(卦を出すための記号である爻を記すもの)を使って、占問に対しての答を易神に問い「卦」をたてます(八卦=一から八の数字)。二回卦をたてて出た卦(上卦と下卦)の組み合わせから、機会や意味を読みとり判断します。

50本の筮竹の中から1本を抜き取り、残った49本の筮竹を、二分割( 左手=天策、右手=地策といいます)します。地策を机上に置き、その中から1本を抜き取り(人策)、左手の小指と薬指の間に挟みます。左手の天策を、右手で8本ずつ数えます。 人策を含めて余りが8本以内となるまで数え、人策を含めた余りの数によって八卦を求めます。
得られた八卦を下卦として、同じ動作で上卦を求め、六十四卦を出します。変爻を同じ動作で求めます。
得られた卦から、「易経」を基に神意(自然の変化を支配する法則)を読み取り占断します。